Author:nikikitchen
<ニキズキッチン>は東京、大阪、神奈川、埼玉、千葉に住む外国人の家で習う料理教室です。温かい心のこもった世界各国のホスピタリティをご体験ください。
ライター:ニキ
http://www.nikikitchen.com/
ニキズキッチンの古くからの常連さん「haruさん」が飛鳥を取材をして記事を寄せてくれました
大切なご家族へのプレゼントや、特別な日の記念にいかがですか?
最近流行りの豪華客船でのクルーズ旅。
世界に多くの客船が就航していますが、日本船籍で最大かつ最高のおもてなしを受けられると評判なのが飛鳥Ⅱ。この日本が誇る名船・飛鳥Ⅱはこの10月1日で初代飛鳥から通算就航25周年を迎えます。その25周年を記念して『飛鳥ダイニング』が刊行されました。
クルーズ船の楽しみ方はいろいろありますが、とりわけ食については多くの方が楽しみにしていると思います。その船上の食事情が手に取るようにわかるのがこの本です。飛鳥Ⅱのメインダイニングをはじめとする食の魅力が満載で、料理だけでなく、空間やもてなし術、裏話まで、飛鳥の美食のすべてが紹介されています。
飛鳥Ⅱでの食事は基本、朝昼晩3食のほかに軽食や夜食まで、すべてクルーズ代に含まれています。簡単に言うと朝から晩まで好きな時に好きなだけ食事ができるんです。食いしん坊さんには意外とお得ですね。
飛鳥のインフォーマルディナー(※日々のディナーという意味です)
メインは数種から選べ、中にはハトという選択しも。
ちなみに100日以上ある世界1周クルーズでは、ディナーで同じものが提供されることはないそうです。素晴らしい心遣いに感服。ちなみにアルコール類、フレッシュジュースは有料です。
朝食は11デッキでは洋食ブッフェ、5デッキでは和食が用意されています。お昼も同じように洋食ブッフェか和食かの選択です。欲張りさんはどちらも、ということも??
飛鳥Ⅱの最上級の客室、Sロイヤルスイート、それに次ぐアスカスイートでは、インルームダイニング(お部屋食)の無料オーダーが可能です。ゆったりとお部屋で特別な時間を過ごす、これも船旅ならでは。
自由に食事ができる飛鳥にあって、唯一別料金で食事を提供する施設があります。それが寿司「海彦」。
実は今回のクルーズの食の中でもいちばん感銘を受けたのがここ。極上のお寿司が食べられるだけでなく、料理人のホスピタリティが素晴らしく、有料なのに何度も通いたくなる魅力がありました(ここについては改めてご紹介します)。
もちろん飛鳥Ⅱの魅力は食だけではありません。エンタテイメントをはじめ様々なアクティビティも用意され、微に入り細に入りスタッフ一丸となってお客様に船上という非日常空間を楽しんでいただく、という工夫がなされています。
かつてはロングクルーズが多かった飛鳥Ⅱも、最近は2泊から3泊のショートクルーズ、ワンナイトクルーズなどが用意され、気軽に豪華なクルーズができるようになりました。まずは『飛鳥ダイニング』で予習をして、ぜひ一度、洋上の非日常空間で、その美食のすべてを体験してみてはいかがでしょうか。
最近、イタリアの各州のお料理に注目していて、シェフの書いた本などを読んでいたのですが、
私がイタリアの家庭料理を習った、パンツェッタ貴久子さんのレシピで
正に全州を網羅した本が出たので、迷わず買いました。
貴久子さんのお料理はレストランでも馴染みがないので
味の想像しにくいものもあるのですが、
どれも優しい味でおいしんです。さっそく色々作ってます。
レストランやワイン、食材情報もあります。
過去の本と被ったお料理が少ないのと、
圧倒的にセンスもいいんですよね。いや、私の好みなんですけど。
Niki's Kitchenの家庭料理も先生独自の色がありますものね。
よかったら本屋さんででも、ちょっと手に取ってみてくださいませ。
<スタッフ みほ>
空豆の味噌を買いに、そして味噌を作っている
仲村渠光子さん(「なかんだかり」さん)
にお会いしに、沖縄の読谷村にいってきました。
皆さんは空豆味噌(そら豆味噌)をご存知でしょうか。味噌の原料といえば大豆や麦、米が主流ですが空豆の味噌というものがあります。ほんのり甘く豆独特のホクホク感がして、本土のものより塩辛くなく、スプーンで大事に大事にすくって口にそのまま放り込みたいような美味さの特別な味噌です。
お電話で仲村渠さんに連絡をすると、味噌の他に揚げたての紅芋団子やおばぁ手作りのゴーヤの佃煮を机にならべて待っていてくれました。
『まぁまぁ座りなさい』
そういって、仲村渠おばぁとのユンタクがはじまりました。
『この空豆の味噌はね、この読谷村にしか、ない味噌なんだよ。日本でもここだけ。空豆の麹からつくってるの。本土の味噌も麹から手作りってあまりないと聞いとるよ。
空豆を畑でそのまま鞘が真っ黒になるまで、そのまま置いておいて、残った種用の豆を使って味噌の麹をつくるのさー。だけど引き継ぐ人がいなくなって、わたしでおしまい。だから若い読谷村の人に一生懸命に味噌作りをおしえてるの。鞘の収穫に1日。
麹作りに1日。三ヶ月おいて味噌作りに1日。」
「おばぁを東京に連れて行きたいなぁ。でも麹の機械や畑を運べないから無理かぁ」
「わたしは歳だから無理だけど、もしかしたら、●●さんなら、なにかできるかもしれない。訪ねてみて。」
旅は続きます
紅加工所
沖縄県中頭郡読谷村波平209
電話098-958-5969
ほのぼのと微笑ましく、ちょっと切ない韓国の仲良し老夫婦のドキュメンタリー
『あなた、その川を渡らないで』
7月30日(土)から、シネスイッチ銀座ほか全国順次公開
※劇場情報の詳細は下記の公式サイトでご確認ください。http://anata-river.com/
text:キヌガサマサヨシ(夏休み計画)
ある夫婦の暮らしを15カ月に渡って記録した韓国のドキュメンタリー。第21回ロサンゼルス映画祭で最優秀ドキュメンタリー作品賞を受賞した名作です。夫98歳、妻89歳。妻が14歳の時に出会い、結婚して76年目を迎えたという老夫婦。そんなふたりが注目されたのは、出かける時は必ずお揃いの韓服を着て、どこへ行くにも手をつないで歩く仲のいい夫婦だったから。冬には雪かきをしながら、雪玉を作ってぶつけ合ってはしゃぐ仲睦まじさ。高齢ながら子どものように純粋なふたり…。
理想の夫婦だと思います。こんな夫婦でいられたら、本当に幸せだろうと思います。でも、ただ長年連れ添うだけで、そうはなれるわけではありませんよね。自分の両親を見ていて、つくづくそう感じます。ほとんど会話もなく、ふたりで楽しそうに出かけることもなく。自分自身を省みても、80歳過ぎてこんなふうにいられるだろうかと考えてしまいます。夫婦で幸せに生きていくのは、ある意味ひとりで生きていくよりも難しいことかもしれないと思います。こんな仲のいい夫婦は世界にどれほどいるでしょうか。
まあ、映画のふたりはそのくらい素敵な夫婦です。76年も連れ添って、「世界で一番あなたが好き」なんて言えることが、あまりにも純粋すぎて、見ていてうるうるっときてしまいます。田舎でつつましく暮らし、決して裕福ではないと思いますが、充分幸せそうに見えます。ふたりで一緒に山菜を摘みに行って、その山菜でナムルやキムチを作ります。
ちなみに、この映画、とくに料理にフォーカスすることはなく、料理や食事についての説明が入ることもないのですが、たびたび食事のシーンが登場します。ということで、この映画をより深くお楽しみいただくために、韓国の料理についても少々ふれておきましょう。
まず、おじいさんの誕生日のシーンがあるのですが、韓国では誕生日に欠かせない料理があります。バースデーケーキ以上になくてはならないと言われるのが、ミヨック(わかめスープ)です。わかめはミネラルが豊富で、韓国では母乳の出をよくする効果があり、産後の体力の回復にも効果があると言われていて、子どもを産んだお母さんが食べるという習慣があります。また、子どもは産んでくれた母親への感謝を忘れないために、誕生日にわかめのスープを食べるのだそうです。映画の中の誕生日の料理の映像の中にも、ミヨックが並んでいるのがわかります。
また、韓国にはクーチョプパンサン(九楪飯床)という習慣がります。これは祝い事の席では9品のおかずを並べるというもの。古くからの言い伝えで、庶民の食事は3品、中流階級の食事は5品から7品、貴族の食事は9品で、王族が食べる宮中の食事は12品と言われているため、特別な日くらいは庶民も貴族の気分になって祝いたいという気持ちから生まれた風習だとか。映画の中でも、誕生日のお膳に置かれているのもスープと9品のおかずです。
このクーチョプパンサンの9品は、伝統的にはごはんとスープ、キムチは除いて数えるのだそうです。でも、映像の中の9品には、韓国風天ぷらのジョンや、春雨を甘辛く炒めたチャプチェに交じって、白菜キムチやカニのキムチのケジャンなどもあるようなので、最近は料理の内容にはそれほどこだわりはないのかも。もしくは、質素な生活だからキムチも含めて9品としているということなのかもしれません。
そうそう、チャプチェもお祝いの食事には必ず登場する必須の一品です。チャプチェは朝鮮王朝時代に王宮での宴会に出されたのが最初だと言われています。その時、美味しさに感激した王がチャプチェを作った料理人を褒めたたえ、長官職を与えたという言い伝えがあり、大変おめでたい料理とされています。
さらに話は逸れますが、韓国の誕生日と言えば、日本人にはびっくりなことがあります。韓国では、友人や職場の仲間と誕生日をしたら、祝ってもらった本人が飲食代を支払って客をもてなすのが一般的です。幼稚園などでは、子どもが誕生日になると、親は同じクラスの子どもたちにお菓子の詰め合わせを配ったりするのだそうです。日本人にとっては意外ですが、韓国以外にインドネシアやタイでも同様な習慣があるので、外国人の友だちに「誕生日でしょ。ごはんしましょう」と誘われたら、覚悟して行きましょう。
ふたりの日常の食事は、キムチとごはんだけという簡素なものです。息子や娘が訪ねて来ても普段であれば、水キムチ、ポッサムキムチ、豆腐焼き、卵焼きくらいが追加される程度。年齢的に食べる量が少ないのは当然でしょうが、仲のいいふたりを見ていると、贅沢なおかずはなくてもそれで充分なのだろうと思えてきます。食事の美味しさって、誰と食べるかによって変わりますよね。嫌いな人と食事をするのは苦痛以外の何物でもないし、ひとりで食べるのは虚しくて味気ない。でも、縁日の屋台のたこ焼きも、好きな人と食べれば美味しく感じますもんね。
この映画にそんな意図があるかどうかはわかりませんが、仲のいい老夫婦が食事をするシーンを観ていると、夫婦や家族の人間関係は一緒に食卓を囲む時間にすべてが凝縮されて表れるのではないかと感じます。相手を思いやる気持ちや、いつくしむ気持ち、敬う気持ち、感謝の気持ち。様々な思いが垣間見えます。こんな理想的な夫婦になるには、食事の時間もぶすっとして黙々と食べるなんて大間違いで、おろそかにしてはいけないけないのかも、と思えてきます。
「ウチは冷え冷えでとっくに手遅れ」という方や、「私は結婚なんかしませんから」という方もいらっしゃるでしょうが、こんなふうにヨボヨボになってもともに楽しく暮らせる夫婦になれるのなら、夫婦もいいかもねと、じわっと胸が熱くなる作品でおすすめです。
<おまけ>
映画の中に登場するわかめスープの作り方をご紹介します。以前、僕が韓国の方に教わったレシピで詳細な分量の記録はありませんが、簡単に作れるので、調味料の分量は味を見ながら調整してください。
材料は、乾燥わかめを水で戻したもの、戻したわかめと同量程度の牛肉の薄切り、白ネギ、おろしにんにく、擦り白ごま、えのき、ごま油、酒、醤油、塩、コショウ、昆布だし、ダシダ、水。
鍋でごま油を熱して牛肉を炒めます。牛肉の表面が白くなったら、わかめとおろしにんにくを加えて炒め、酒を加えます。酒のアルコールを飛ばしたら、昆布だし、ダシダ、しょうゆ、コショウ、水を加えて煮立たせます。沸騰したら、アクを取り、千切りにした白ネギとえのきを加え、中火で3-4分ほど煮ます。味見をして、塩気が足りなければ塩で味を調えてください。味が決まったら、器によそい、擦り白ごまを散らして完成です。
監督:チン・モヨン
出演:チョ・ビョンマン、カン・ゲヨル
製作:2014年 韓国 86分
配給:アンプラグド
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